水頭症ってなに?

日本水頭症協会 suitoushou.net

水頭症に関する情報を提供するサイトです。

| HOME | 水頭症ってなに? |

更新日 2008-05-19 | 作成日 2007-09-14

DSCF2508.JPG

水頭症ってなに? 2/5

水頭症ガイドブック 基本篇


 脳室の大きさには一応「正常範囲」と呼ばれるものがありますが、人それぞれの顔が違うように、脳室の大きさも形も、個人個人で異なります。
 また、同じ人でも、生誕直後→小児期→成人→老年と進んで行くに連れて、形が異なってきます。
 水頭症の場合、脳室が大きくなって周辺の脳を圧迫します。逆に「脳萎縮」と呼ばれる状態などで脳自体の圧が低くなっても、脳室は大きくなります。
 一方、水頭症の治療方法であるシャント(後述します)によって髄液が流れすぎたとき、あるいは脳出血や頭部外傷で脳が腫れるなどして脳自体の圧が高くなった時には脳室は小さくなってしまいます。
 ですから、脳室の大きさというのは、あくまでも、脳室内の髄液の圧と、脳の圧との関係で決まってくるものです。ちょっと風船に似ていますね。

4●髄液の産生・循環と吸収

 水頭症では脳室内に髄液が貯留し、脳室が拡大すると言いました。では、この髄液はどこで産生され、どう循環して、どこで吸収されているのでしょうか?
 このことは非常に基本的な質問であるにもかかわらず、驚くべきことに、いまだにその詳細は完全には明らかになっていないのです。しかし、髄液の流れの本流、というか、大まかな流れはわかっています。
 髄液の大部分、約70%近くは脳室内にある「脈絡叢」(みゃくらくそう)という組織で産生されます。脈絡叢の大部分は左右の側脳室にあります。第3脳室、第4脳室の天井側にも少量存在します。
 「叢」という字から想像できるように、草むらのようなふわふわとした組織で、太めの血管から網目状の血管に至るまで、血管の成分に富んでいます。ちょっと乱暴な言い方をすれば、この血管から液状成分が分泌されて髄液になるわけです。
 髄液の産生量は正常の成人で一日大体400-500mlです。ちょっと古い人には昔の牛乳瓶2本分くらい、というと具体的なイメージがわくみたいです(紙パックだと、最近はサイズがいろいろあるので、「中くらいの」なんていってもピンときませんよね)。通常の脳内、脳・脊髄表面の全髄液量は約120-150mlといわれていますので、髄液の産生量が400-500mlということは、一日に3回分、入れ替わっている計算になります。
 産生量は、脳や周辺の状態によっても変化します。脳室内の髄液の圧が上がると産生は抑制されます。また、髄膜炎のような炎症反応を生じると産生が増加します。脈絡叢に由来する脳腫瘍ができると、髄液が過剰産生され、それによって水頭症をきたすことが知られています。
 左右の側脳室内にある脈絡叢で産生された髄液は第3脳室に流れます。側脳室と第3脳室のあいだには、左右各々に「モンロー孔」という穴があり、ここを髄液が通過していきます。アメリカの有名な女優さんの名前で覚えてください。本当は18世紀のスコットランドの有名な解剖学者アレクサンダー・モンロー(Alexander Monro 1733-1817)に由来した名前です。
 さて、第3脳室に流れ込んだ髄液は第4脳室に流れていきますが、両者は「中脳水道」という大変細い通路で結ばれています。
 第4脳室に流れ込んだ髄液は今度は尾側端正中にある穴(マジャンディ孔)と左右にある穴(ルシュカ孔)から脳表、脊髄表面に流れ出ていきます。
 脳表・脊髄表面を循環した髄液は頭頂部の硬膜にある「クモ膜顆粒」という組織により吸収され「静脈洞」(硬膜に囲まれた特殊な静脈)に入ります。この頭蓋骨の正中直下を走行する静脈洞は脳内では一番太いもので「上矢状静脈洞」と呼ばれています。
 ここまで見てきた、髄液の主要な産生、吸収の循環経路のどこに異常が生じても、水頭症になります。極端な例で言うと、脳内には何も異常がなくても、頭蓋骨の異常で静脈洞が圧迫されても水頭症になってしまうことがあるのです。ひとくちに水頭症といっても原因は多種多様、ということです。

5●水頭症の原因

 では、もう少し具体的に水頭症の原因をみていきましょう。
 初めに髄液の産生から吸収まで順にそってお話していくことにします。
 まず、極めて稀なことですが、髄液を産生する脈絡叢に腫瘍ができ、髄液が過剰産生されて水頭症になることがあります。この場合は髄液の循環路の閉塞はなく、循環路自体はきちんと交通しているので「交通性水頭症」といわれます。
 側脳室のモンロー孔周辺部に腫瘍ができると、モンロー孔が閉鎖されて水頭症になります。初期には片方の側脳室だけが拡大します(一側性水頭症)。腫瘍が増大したり、脳室拡大が進行すると対側のモンロー孔も閉鎖され両側側脳室が拡大した水頭症になります。一側性の水頭症は、先天的に一側のモンロー孔が閉鎖されている場合にも生じます。
 第3脳室内に腫瘍ができても、できる場所によってモンロー孔が閉鎖されたり、中脳水道の入り口が閉鎖されて水頭症になります。前にお話しした脳室の構造をちょっと思い出してみてください。モンロー孔が閉鎖されれば両側の側脳室が拡大します。中脳水道の入り口が閉鎖されれば両側側脳室と第3脳室が拡大することがわかりますね。
 中脳水道は名前のごとく細長い管状の髄液の通路です。どのくらい細いかといいますと、正常では0.2-0.5mm径くらい、全長は12-13mmです。なんだか、すぐに詰まってしまいそうで心配ですね。実際、周辺に腫瘍ができて圧迫されたり、炎症後の癒着などによって、簡単に潰れてしまいます。先天的水頭症で最も多いのも中脳水道閉鎖によるもので、その多くは膜様の組織によって閉塞されています。中脳水道閉塞による水頭症では、両側側脳室と第3脳室が拡大してきます。
 第4脳室内の腫瘍も水頭症を引き起こします。この場合には中脳水道が太くなってくるのが特徴です。第4脳室から脳・脊髄表面への出口が閉塞すると側脳室から第4脳室まで全体が拡大した水頭症になります。
 ここまで話してきたように、水頭症の中でも、何らかの原因により脳内で髄液循環路が閉塞され、脳室内に髄液が過剰に貯留した状態のものを、一般に「閉塞性水頭症」と呼びます。
 さて、脳・脊髄表面の髄液は頭頂部にあるクモ膜顆粒から静脈に吸収されていくわけですが、炎症や出血により、脳表の髄液が流れる空間であるクモ膜下腔が癒着して閉塞したり、クモ膜顆粒の機能が障害されると、髄液が吸収されないために水頭症になります。これは髄膜炎やクモ膜下出血を起こした後に起こる水頭症の原因としては最も多いタイプです。
 また、せっかく髄液が吸収されても頭蓋骨奇形のため静脈の流れに障害があると水頭症になります。この様な原因で水頭症になる場合、問題は髄液の吸収能力の障害であり、脳内の髄液循環路はきちんと交通しているので一般には「交通性水頭症」と呼ばれます。
 それでは、次に水頭症の原因を年齢、病気との関係で見てみましょう。主な代表的疾患を示します。

・新生児期

 脳室内出血

 先天奇形に伴う水頭症
  (脊髄髄膜瘤、ダンディー・ウォーカー症候群、など)
 先天性の髄液循環路の閉塞
  (モンロー孔閉塞、中脳水道閉塞、など)
 母体感染による水頭症
  (トキソプラズマ、風疹、など)
 髄膜炎、脳炎

・乳・幼児期

 髄膜炎、脳炎
 脳腫瘍
 中脳水道閉塞

・学童期

 髄膜炎、脳炎
 脳腫瘍
 頭部外傷

・成人

 脳出血、クモ膜下出血
 脳腫瘍
 頭部外傷
 突発性

日本水頭症協会


事務局住所:
〒238-0044
神奈川県横須賀市逸見が丘9-4
FAX:03-5701-2410
e-mail:info@suitoushou.net
(事務局の運営は水頭症の子を持つ親たちで行っております。日々の仕事、生活の合間を縫っての活動ですので、電話での応対はご遠慮いただいています。なにとぞご了承ください)
郵便振替口座:
  記号番号:00220-0-133501
  加入者名:日本水頭症協会